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行動すれば救える命について

お知らせ

お知らせ 2024.06.01

スヴァイルンビア保健センター「母子待機・観察室」建築について

ディレクターの嶋岡です。

本クラウドファンディングですがのべ292名の方から5,291,000円のご寄付のお申し出を頂いております。本当にありがとうございます。日本に戻り、日常生活の中で今回の現地での活動を振り返っています。現地に入っての活動は素晴らしい体験でした。現地の皆さんから「ありがとう」「またきてね」と感謝の言葉をたくさんいただきました。日本からの支援、温かいお心も一緒に運ぶことができている実感を得られました。私たちからもご支援くださった皆さまに「ありがとう」をお伝えしたいです。

 

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今回は、本プロジェクトの最大の注目点とも言える、スヴァイルンビア保健センターの母子棟建設についてお伝えいたします。スヴァイルンビア保健センターは、コンポンチュナムの港から川を渡って向こう側、今回の支援の対象となるコンポンレーン地域にある保健センターの一つです。

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カバーする人口は16500名、12の村を管轄し、年間の予定分娩数は336(昨年は283)これを3名の助産師と5名の看護師で運営しています。乾季は酷暑、雨季は冠水、とかなり過酷な環境の中で医療を提供するためにスタッフは頑張っています。しかし、その頑張りにも限界があります。スタッフのかたが見せてくれた写真です。最もひどい時の写真を見せてくれました。

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洪水ですね、、、、この中をじゃぶじゃぶ歩いて診療を受けにくるそうです。

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足湯みたい、、、、これ、会議中だそうです。

 


乾季にはかんかん照りの中このバックヤードで患者さんは待機します。実際に丸太に座ってみましたが、本当に暑いし熱い。こんなところで待たせてはいかん、と思いました。赤い屋根の建物が保健センター、真ん中に裏口があります。今回訪れた時には、直射日光を避けるための日除けの小さい屋根が作られていました。銀行に借金して作ったそうです。それほど深刻な状況だったのでしょう。左手に見える建物がトイレです。乾季はまだ良いのですが、雨季にはこのバックヤードも水没するため、妊婦さんは保健センターの裏口から入ったすぐのところの廊下で待機して、トイレに行くときには裏口から出てジャブジャブと冠水しているバックヤードを歩いてトイレに向かうそうです。衛生面でも問題がありますし、感染なども心配です。

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妊婦さんは丸太に座って待っているそうですが、、、直射日光下で猛烈に暑いです

 

 

5月27日月曜日午前10時に保健センターのスタッフ、現地建設業者、州保健局、州病院産婦人科のスタッフ、アドバイザー、そしてあおぞらがスヴァイルンビア保健センターに集まり、施設建設について意見を交換し、仕様を決定し、予算の見積もりを出す大切なミーティングが開かれました。


当初はバックヤードに「母子棟」を建設する予定でしたが、現地のスタッフ、建設業者とディスカッションの結果、建物正面から右手に(バックヤード側からは左手に)ある約12メートル×6メートルほどの建物を建設することができるスペースがあり、ここに「母子待機・観察室」を増設するという方向でお話がまとまりました。本館の壁にくっつけて建設し、壁を一部取り壊してドアを置き、本館側から出入りできるような形です。本館と分娩待機室をくっつけることで強度的にも安定し、コスト的にも削減できるということでした。

正面側から見た建設予定地の写真です。建設の際には現在作られている簡易的な屋根は外します。

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どのような形でどのような施設を作るか現地関係者で議論しています。床面積は12m×5m。建物基礎は既存保健センターと同じ。壁の厚さは約20cm。屋根も既存保健センターと同仕様。天井にはシーリングファンを設置。床タイルも保健センターと同じに、、などどんどん仕様が決まっていきます。さらには照明、新しく外側にトイレを作る(母子待機・観察室の外)アイディアも出てきました!出産前も出産後もお母さんは歩くのも大変だから、待機・観察室からすぐのところにトイレを新設して、渡り廊下で繋ぎ、階段の上り下りなし、さらには歩く距離を少なくしようとの意見でした。イメージは以下の通りです。(素人(嶋岡)が作画しました。わかりにくくてすみません)

 

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一通り議論が終わった後、現地建設業者の見積もりです。

保健センターのスタッフからは当初7000USドル(1USドル=155円として約100万円)程度で完成するとこちらに連絡がありました。私たちの思惑では、7000USドルでは質が悪いものが作られる可能性がある、だから予算は建物に最大約10000USドル(約155万円)程度、内部に入れるベッドやサイドチェストなど、5床分、約3500USドル(約55万円)程度と考えておりました。

しかし、出てきた見積もりは約14000USドルでした。予定より4000USドル(約60万円)超過しています。

 

見積もり額が高くなった理由は、お腹の大きい妊婦さんや出産直後のお母さんがトイレに行くのが大変だからトイレも設置した方がいい、と保健センターのスタッフからから意見があって設置が追加されたことや、施設内の屋根や壁の厚さ、柱の素材など、建物の強度や断熱効果、雨季の雨漏りの防止などに影響する部分でコストが上がったそうです。細かいですが実際使う側にとっては大きな問題ですし、圧倒的に妊産婦の病院での快適度が上がるため、私たちもそうできたらと思いました。幸い、クラウドファンディングは皆様のご協力で当初の予定より大幅に増額することができ、最終目標金額に届けば母子待機・観察室の建設は実現可能な範囲にあります。

 

14000USドル+備品3200USドルで17200USドル(約270万円)か、、だいたい建設ってのは当初の予定よりもエクストラが掛かるもんだし、その分をキープして予算を組んでおかないとちょっと不安だし、、、いろいろ頭を巡らせます。

 

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ここから交渉が始まります。

 

一番最初の質問は、州保健局から派遣され、ずっとこのプロジェクトの担当をしてくれているマダムDevinに対してでした。

「もしかして州保健局でベッドとか必要物品とか資材を出してくれたら、その分の予算を建物に使えるんだけど?」

 

彼女は間髪入れずに答えました。

 

「イエス」

 

「それは、保健局の予算を確保できるということ?」

 

「いえ、それはないので、保健局やヘルスセンターのスタッフ、地域の住民からお金集めて買うようにがんばるので、予算があれば出来るだけ建物にお願いします。」

 

これ、すごくありがたい話なんです。カンボジア側が、なんでもかんでも日本からもらったりしなくていい、自分たちでできるところはやる、と言っているわけで、とっても嬉しく思ったのです。このプロジェクトがカンボジアの僻地にとってどのくらい重要なのかわかって頂けている。そのことを確認できた瞬間でした。

 

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しかしそこでもまだディレクターは頭を悩ませておりました。

 

このクラウドファンディング、最終目標の550万円に到達すると待機・観察室の建築とそれに入れる物品も含めて最大15000USドル(約230万円)の拠出が可能と考えておりました。これで安全に建てられるし、機材を入れられると思っていたのですが、ちょっと足りなくなる可能性がある。州保健局がそのようにしてくれると言っているが、貧困地域からのお金の徴収ってのも、いつ目標額に到達するかわからないし、できるなら最初からしっかりと5床分の機材を入れてあげられたら、、、

頭の中で計算していてどうしようかなーと思っていたら、アドバイザーとして帯同してくれていたブンチャン(コンポンチュナムのビジネスマンで建設に詳しい友人)が「どのくらいの予算考えているのか建設業者に伝えてみたら?必要以上に贅沢な塗料とか資材とか使おうとしているかもしれないし、そこのところで予算削減できるかもしれないし」とアドバイスをしてくれました。

「10000USドルくらいだったらどうですか?建設できないですか?」

さすがマネージャー、大窪さんがピシャリと伝えます。

建築業者の顔色が一瞬ひるんだようにも見えましたが(笑)また保健センターのスタッフと共に建設予定地に出て議論が始まりました。地域のスタッフ同士で忌憚のない議論をしてもらいます。

 

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しばらくして建設業者から帰ってきた答えは「約10000ドルで作ります」でした。すごく安くなったので耳を疑いました。「12m × 5m で屋根つけて、ドアもつけて、トイレもつくのよね?」って確認してしまいました。そうしたら「そうです」と言います。「耐久性大丈夫よね?」「はい」と言います。強い圧力を掛けて値切り過ぎるのも心配なので、1000ドルの予備費を付けて、追加予算が必要な理由が妥当と承認されれば支出できる予算も置くことにしました。

それならば、建築費10,000USドル+予備費1000USDドル+機材費3,200USドル=総工費14,200USドルとなります。クラウドファンディングが成功すれば、確実にこのカンボジア僻地の保健センターに総工費14200USドルの「母子のための待機・観察室」を設置することができます。ゴールが見えました。

「それでOKです。こちらは理事長の決裁を取ります。できるだけ早く連絡します。」

ディレイクターからそう伝えました。

 

(クラウドファンディングがもし目標達成することができず、資金不足が生じた場合はあおぞらの自己負担となるため、すぐに理事長の葉田に連絡し、GOサインをもらいました)

 

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これからの流れですが、あおぞらと州保健局とで建設費用の寄付の覚え書きを取り交わし、州保健局が現地建設業者と契約を結びます。直接、現地建設業者との契約ではなく、州保健局という公的な機関との覚え書き締結なのでこの案件は信頼できると考えています。

皆さんからの温かいご寄付でカンボジア僻地、コンポンレーン地区のスヴァイルンビア保健センターに快適な「母子待機・観察室(5床)」を建設することができます。現地のお母さんが安全で安心な出産をすることができます。そして生まれた赤ちゃんがお母さんと安全に過ごすことができます。本当にありがとうございます。

クラウドファンディング最終目標である550万円到達まであとわずかです。
皆さまの温かいお気持ち、ご寄付を引き続きよろしくお願い申し上げます。


カンボジア僻地の6万人の命を救いたい!安全で安心できる出産を!(葉田甲太 2024/04/19 公開) - クラウドファンディング READYFOR

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