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行動すれば救える命について

お知らせ

ブログ 2024.06.04

現地の助産師とともに 羽生悦子

あおぞら、助産師の羽生悦子です。

 

多くの方のご支援により、最終目標額を達成できたことを感謝いたします。皆様本当にありがとうございました。バートナー助産師のモイさんや、陣痛室建設の調整役をしてくれているカンボジア人の友人にも早速連絡を取り、皆で喜びを共有しております。

 

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コンポンハウの助産師お二人とモイさん

 

 

 

今回の私がしたかった活動は、妊婦さんへの保健指導がテーマでした。2年間、州病院で活動した色々な経験と思いから企画し準備した勉強会で、どこまで現地の助産師さんや妊婦さんに受け入れられるかは未知の挑戦でした。ところが、勉強会を実施すると参加してくださった全員が意欲的に意見を述べあったり、内容の追加点を話し合ったり、実際に妊婦さんに指導を行い、妊婦さんからのフィードバックをもらっていたり、完全に私の手から離れ現地の助産師さんや看護師さんの手で活用され始めていました。命を守るという共通の目標に対して真剣に向き合っていることがとても伝わり、こちらも身の引き締まる思いがしました。活動報告♯6保健指導勉強会を開催しました!も併せてぜひご覧ください。

 

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妊婦さんに分かりやすく伝えるために、みんな真剣です

 

 

思っていた以上の成果を嬉しく思う反面、大きな課題も目の当たりにしました。今回、4つの保健センターを訪問する間に、保健センターで出産したお母さんと赤ちゃんのご自宅を訪問する機会をいただきました。決して衛生的とは言えない質素な家、満足することなく母乳を吸い続ける赤ちゃんの様子、雨季には自宅の床下まで冠水してしまう過酷な環境もありました。食事は近隣の家に分けてもらっている。お金がないから病気をしても病院には行きたくない。何年も持病があるが病院に行けず働くこともできない。などのお話もお聞きし、どうにもできない貧困という現実がそこにあることが分かりました。

 

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訪問させていただいたご自宅①

 

 

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訪問させていただいたご自宅②

 

 

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許可をいただきご自宅の中も撮影させていただきました

 

 

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2週間前にスヴァイロンピア保健センターでお産されたお母さんと赤ちゃん 

どうか元気でお過ごしくださいと願うばかりでした

 

 

プロライミヤ保健センターは船でコンポンチュナンから往復4時間かかります。移動中のトンレサップ川にはホテイアオイという水草が川面を覆います。これをかき分けながら、ボートは少しずつ進みます。

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川面を覆うホテイアオイ

 

 

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何度となくスクリューに絡んで船が動けなくなり、なかなか進めません

 

 

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妊婦さんが乗るボートです。とても不安定で命に係わる事故が絶えないそうです。

 

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やっとたどり着いたプロライミヤ保健センター

 

州病院でお産されたプロライミヤ出身のあるお母さんは、陣痛が始まってから命がけで4時間かけて川を渡ってきました。彼女はご自分の希望で病院での出産を選択されたそうですが、プロライミヤの多くの女性は州病院でのお産を望まないそうです。例え分娩中に問題が生じて保健センターで対応できなかったとしてもです。分娩中の問題は時にお母さんと赤ちゃんの命に直結します。出産も命がけですが、ここでは病院に行くことですら命がけです。想像していた以上に過酷な環境がありました。

 

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この日の朝、プロライミヤ保健センターで出産されたお母さんと生まれたばかりの赤ちゃん

ふたりとも元気で良かったと心の底から思いました

 

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モイさん、プロライミヤ保健センターでただひとりの助産師さん、保健局助産師さんと

 

このように貧困から自分で自分の生活を管理したくてもできない、抗うことのできない過酷な自然環境の中で生活している、などの厳しい現実を見てきました。正直ことばがありませんでしたし、この方たちのために何ができるのか私には分かりませんでした。医療支援とは別に生活の基盤を整えることがすぐにでも必要ですが、とても大きく複雑な課題だと感じました。

 

モイさんとは、今後の活動についても話しました。

  1. 視察させていただいたコンポンチュナン州の別の保健センターから勉強会の開催依頼をいただいています。その保健センターの管轄にも保健センターから遠い僻地と思われる地域があるため、地域の保健ボランティアさんにも勉強会の実施をしたい、保健ボランティアさんから妊婦さんへの保健指導確立のための支援をしたいと考えています。
  2. コンポンレーンでは保健センターの助産師さんを対象としたので、同じく地域の保健ボランティアさんへのアプローチをしたいと考えています。

 

成果と大きな課題の両方が見えた今回の活動でしたが、自分にできる小さな活動を今後も現地の助産師と一緒に少しずつ積み上げていきたいと思っています。今後ともご支援よろしくお願いいたします。

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