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皆さまはじめまして。新生児科医師としてあおぞらの活動に携わっている柳貴英と申します。
私は普段は日本のNICU(新生児集中治療室)で働いています。赤ちゃんの診療ばかりを続けて、気が付けばいつの間にか20年以上経ってしまいました。
私が初めてカンボジアを訪れたのは学生時代です。
当時少しずつ復興しつつあったものの内戦の傷跡がまだ色濃く残るカンボジアを、バックパッカーとして巡りました。まだまだ貧しかった街並みを歩けば、瞬く間に驚くほどの数のストリートチルドレンに囲まれたことを思い出します。子供も大人も、カンボジアの人たちの目はどこか寂しさを感じさせるけれど同時にものすごく人なつっこい。将来、そんな彼らのために役立つことを何かできないだろうか、と思いました。
その後医師として働き始め、目の前の忙しさと格闘しながらカンボジアで考えた事を後回しにしているうちに、長い年月が経ってしまいました。この年になって、これでよいのかと考えているとき、あおぞらの活動と出会ったのです。
「これだ!」
日本では当たり前に簡単な蘇生処置を受けて助かる軽度の新生児仮死の赤ちゃんも、カンボジアではたくさん亡くなっていることを知りました。新生児蘇生を教えることなら、自分にも今すぐにできる。ぜひ貢献したい!文字通り、いても立ってもいられない気持ちになりました。
久しぶりに訪れたカンボジアは、大きく様変わりしていました。首都プノンペンには、以前は考えられないような高層ビルや近代的な商業施設が建ち並んでいます。でも、一部の富裕層の他に、今も貧困にあえぐ人々が多くいることも知りました。国の医療システムはまだまだ不十分で、彼らは医療にアクセスすることもできないのです。
地方の病院では、人手もリソースもなく、何が原因かも分からないまま赤ちゃんがなくなっていくことも珍しくありません。勤務状況だけは過酷な中で、スタッフたちは現状を変えることに対して、モチベーションを失ってしまっていることも多いと言います。
実際に現地で自分が新生児蘇生講習会を行うまで、ちゃんと話を聞いてもらえるのかとても不安でした。が、杞憂でした。
「みなさんの行動一つで赤ちゃんの命が救われます。そして、それはやがてこの国の将来を変えるんです」
そう言ったとき、受講生たちの目の色が変わったのが分かりました。
「学生時代にカンボジアで見た、あの目だ」と思いました。
食い入るようなまなざしで、みんな講義を聞き、そして質問攻めにあいました。日本で新生児蘇生のインストラクターをやってきましたが、ここまで熱心なリアクションを受け取ったことはありません。
あきらめていたわけではなかったのです。赤ちゃんを救えるために自分ができることがあるのなら、やりたかったのです。ほんの少しずつかもしれませんが、私にもこの国のためにできることがある、と強く感じました。
今、私は、学生時代の宿題をするためにカンボジアに通っている気がしていています。
宿題の成果はすぐには表れないかもしれませんが、いつかどこかで必ず実を結ぶと信じています。
これからもご支援のほど、どうかよろしくお願い致します。
あおぞらでは、毎月定額を寄付いただくマンスリーサポーターを募集しています。
生まれてくる赤ちゃんを救い、命がけの出産からお母さんを守るために。
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「救える命を救う」ために活用させていただきます。